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FIT制度と調達価格の変化について【2019年版】

こんにちは、RETRYenergy 開発事業部です。

開発事業部では、発電所の構想を現実の形にしていくために日々動いており、いろいろな人と話をする機会があります。

その中で「調達価格が下がっていると聞いているが、採算性は大丈夫なのか?」と心配されることがあります。

 

調達価格とは

FIT制度に基づいて電力会社に買い取ってもらう1kWhあたりの価格を言います。

調達価格の他、買取価格、FIT単価等、呼び方は複数ありますが、本記事内では「調達価格」と言います。また、本記事内の調達価格及びその制度は50kw以上の太陽光に限定しています。

風力やバイオマスなどの他種電源及び50kW未満の太陽光では異なる部分がありますので、ご注意ください。

 

さて、ご心配いただいている調達価格ですが、発電所の完成後、売電を始めた時に確定するのではなく、経済産業省や電力会社に対して一定の要件をクリアした時に確定するものです。

現在開発事業部で進めている案件は既に調達価格が確定しているため、ご心配には至りません。

しかし、「調達価格が下がっている」ということは事実としてあります。では、どれくらい下がっているのでしょうか。

FIT制度のはじまりと仕組みの変化

FIT制度が始まったのは、2012年。当時の調達価格は40円(税抜)でした。

その後、年々下がり続けて2016年度に24円(税抜)となった後、2017年からは入札制度が始まりました(当時は2000kW以上の規模のものが対象)。

それまでの制度では、事業者は経済産業省と電力会社へのそれぞれの要件さえクリアすれば、建設した発電所で発電した電力を、ほとんど自動的に決まった価格で買い取ってもらうことができました。

しかし、入札制度の対象となった場合は、まず初めに発電量の「枠」を確保する必要があります。

FIT制度の入札制度を詳しく解説

事業者が作る発電所の規模(=発電量)を計画します。想定される発電量の「枠」を押さえるのが入札制度です。

この枠を入札制度によって押さえないと、例え発電所ができたとしても、その電力を買い取ってもらうことができません。また、枠よりも超過した分の電力も買い取ってもらうことはできません。

2017年度の入札の場合、500MW(500,000kW)分の発電量の枠を入札により事業者で分け合いました。(募集容量、と言います。)

通常、「入札」と言うと高い値段を設定した人が権利をもらえますが、この入札制度はその逆で、安い値段を設定した人から発電量の枠を確保していきます。

FIT単価の仕組み

例えば、上図のように事業者Aが10円で300MWBが15円で250MWCが20円で200MWというように、3つの事業者がそれぞれ異なる価格で入札したとすると、安い値段を付けた事業者の分から確保されていくため、Aは300MW分の全てを、Bは250MW中200MW分のみを落札できます。

しかし、高い値段を設定したCの全てとBの250MWの内50MW分は落札することができません。

 

決まった価格で買い取ってもらうという、それまでの制度では、事業者同士の切磋琢磨が生まれづらいという問題がありました。

調達価格が高いままだと、国民が払う再エネ賦課金が高くなり負担が多くなるという問題があるため、調達価格を安くする、というのが国としての課題でした。

そのため、安くしないと枠が取れない入札制度では、事業者が自ら単価を落としていくだろうと期待して、この入札制度が始まりました。その結果、2017年度の入札では、17.20円から21.00円で落札されました。

(参考:2017年11月21日 一般社団法人低炭素投資促進機構第1回入札(平成29年度)の結果について)

2019年の入札制度状況

2019年からは、入札制度の対象がそれまでの2000kW以上から、500kW以上に拡大されました。

年度中に2回の入札が行われますが、そのうち1回目(2017年から通算して4回目のため、「太陽光第4回」と呼ばれます)が9月に終わりました。

その結果、落札価格は10.50円から13.99円となっており、確実に下がってきています。

(参考:2019年9月3日 一般社団法人低炭素投資促進機構 太陽光第4回入札(令和元年度上期)の結果について)

 

FIT単価年度ごとの推移

グラフに表してみても、右肩下がりにキレイに下がっているのが目に見えますし、「調達価格が下がっている」というのは事実です。

FIT制度開始とともに増えた太陽光関連企業の影響

また、ちょっと話が逸れますが、FIT制度の開始以降、多くの太陽光関連企業が生まれました。

しかし、この5年間の間に、その倒産件数は年々増え続けています。

(参考:2019年1月9日、太陽光関連業者の倒産動向調査、帝国データバンク)

この倒産数の増加の大きな要因としても、調達価格の減額が考えられます。

確かに、こんなネガティブなニュースを聞くと、心配になりますよね。

冒頭でお話したように、調達価格が下がっていることで心配されることがよくあるのですが、それも無理もありません。

ただ、この「調達価格の減額」自体は、それぞれの立場によって異なり、必ずしもネガティブな見方ばかりではないと思います。

資材価格の低下により採算性はアリ

例えば、太陽光パネル等の機器が安くなってきたため、より安い調達価格でも採算性が取れるようになってきている。という見方ができます。

倒産する会社がある一方で、安い調達価格でも採算性ある事業を進めている会社もあり、10.50円で入札した会社もあります。

これは、例え10.5円というFIT開始の約1/4の価格でも事業をやっていけるという証であり、どんどん規模が大きくなっていっている会社もあります。

2012年からの実績により事業評価は安定傾向

また、FIT制度が始まった2012年当初は、事業参入へのリスクが高く、高い調達価格という大きなリターンがないと導入が進みづらく、ハイリスクハイリターン型だったのが、近年では太陽光発電事業の実績が認められてローリスクローリターン型になってきた。という見方もできます。

これは、太陽光発電という事業の安定性が広く浸透してきたとも言えます。

実際に、太陽光関連企業が銀行からの融資を受ける際の利子は低くなってきているようです。

まとめ FIT制度の調達価格と脱FIT

このように、調達価格の下落を乗り越え、その中で事業を行っていくということも十分可能です。

(ただし、その一方で先述の通り倒産していく会社もたくさんあるため、自分の土地で太陽光をしたいと思っている方等は、会社の見極めにご注意ください。)

弊社も、これからも太陽光事業に力を入れていきたいと思っています。

 

また、調達価格だけの問題ではなく、FIT制度自体を今後どうしていくか、というのが国としての問題です。

2020年度末までには、FITの抜本的な改革が必要とも言われていますし、「脱FIT」「卒FIT」という言葉もよく耳にします。

日本の再エネは、次のステップへ進む時期にきているようです。

これからのエネルギー制度がどうなっていくのか、ぜひ注目してみてくださいね。

 

開発事業部へのご相談はこちらから、お待ちしております。

 

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